エアコン(空調)の原理である冷凍サイクル/ヒートポンプサイクルの仕組みを現役自動車開発エンジニアが解説!

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自動車の電動化に伴う空調の重要性

本記事では空調の基本的な原理を説明します。

本編に入る前に自動車開発における空調技術(冷凍サイクルやヒートポンプサイクル)の重要性について冒頭で述べます。現在、自動車の電動化(EV化)に伴って、空調技術が非常に重要な技術の1つとなってきています。

その最たる理由は、電動化によって自動車内部の熱源が不足するからです。これまでのガソリン/ディーゼルエンジンは燃焼によって大きな発熱量を生み出しています。これまでの従来の自動車では、この発熱を有効活用していました。例えば、暖房はエンジンからの発熱の恩恵を受けていました。燃焼によって生成された熱量はウォータージャケットを流れる冷却水に流れるため、冷却水の水温はどんどん上昇します(エンジンから見れば有効仕事のロスにつながるので、冷却損失と呼ばれる)。

その暖まった冷却水をHVAC(Heating Ventilation and Air-Conditioning)内にあるヒーターコアで空気と熱交換させることによって、暖かい空気を車室内に送っています。しかし、EVではエンジンのような大きな熱源が存在しないので、暖房専用に熱を生み出す必要が出てきますそこで、空調技術であるヒートポンプサイクルが注目を浴びています。

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空調(冷凍サイクル/ヒートポンプサイクル)の原理

ここからは、空調の原理である冷凍サイクルやその逆サイクルであるヒートポンプサイクルについて解説していきます。まず、空調で空気を冷房したり暖房したりできるのは、冷媒の気化熱凝縮熱を利用しているからです。

空調は気化熱と凝縮熱を利用して冷房・暖房

気化熱や凝縮熱とは、物質が液体→気体、気体→液体に状態変化するために必要な熱量のことを指します。気化熱は液体が気体に状態変化するために必要な熱量、凝縮熱は気体が液体に状態変化するために必要な熱量です。

例として、水で考えてみましょう。水は0℃から100℃は液体ですが、沸点である100℃で液体から気体に状態変化が始まり、水蒸気になっていきます。0℃の水を100℃の水にするために必要な熱量は100[kcal/kg]です。物質を温度変化させるために必要な熱量のことを顕熱と呼びます。

次に、100℃の水を100℃の水蒸気に状態変化させるために必要な熱量は540[kcal/kg]です。物質を状態変化させるために必要な熱量のことを潜熱と呼びます。空調の原理である気化熱と凝縮熱はこの潜熱を利用しています。気化熱であれば周囲から540[kcal/kg]のエネルギーを奪って、水が水蒸気に状態変化するので周囲を吸熱します。凝縮熱であれば周囲に540[kcal/kg]のエネルギーを放出して、水蒸気が水に状態変化するので周囲を加熱します。

冷凍サイクル/ヒートポンプサイクルの構成要素

ここからはいよいよ空調の原理である冷凍サイクルとヒートポンプサイクルについて解説していきます。先ほど空調は気化熱や凝縮熱を利用していると言いましたが、これらは一度利用すれば終わりですよね?例えば、水が気化熱をもらって水蒸気に状態変化すると、その水蒸気は空気中に散逸してしまって1度しか気化熱を利用することはできません。この気化熱を繰り返し利用するためには、液体→気体、気体→液体と状態変化を繰り返すサイクルを作る必要があるのです。これが冷凍サイクルとヒートポンプサイクルなのです。

では、どのようにして状態変化を繰り返し引き起こすサイクルを作るのでしょうか?気化熱によって蒸発した水を再度液化させるためには気化熱と同じ量の凝縮熱を放出しなければなりません。つまり、蒸発した水蒸気を冷却すれば凝縮して再び液化し、繰り返し気化熱を利用した冷却が可能になるのです。

これが冷凍サイクル/ヒートポンプサイクルの構成図です。コンプレッサ、コンデンサ 、エキスパンションバルブ(膨張弁)、エバポレータの4つの部品でサイクルが形成されています。冷媒はこのサイクルを常に状態変化しながら循環しています。冷媒の圧力や温度などの様々な物理量が1枚のグラフになったものをモリエル線図と呼び、空調開発では必須のアイテムです。

コンプレッサ

エバポレータで蒸発して気体になった冷媒はコンプレッサによって圧縮され、高温・高圧の気体になります。そのときの圧縮過程はポリトロープ圧縮と呼ばれる断熱圧縮と等温圧縮の中間的な圧縮となります。

コンプレッサは機械式と電動式に分類され、機械式の中でさらに固定容量型と可変容量型に分けれます。従来のエンジン車の場合は、エンジンと同期して回転する機械式コンプレッサが採用されていましたが、電気自動車ではモータで駆動する電動式コンプレッサが採用されています。

コンデンサ

次に、コンデンサ(室外機)の中で外気に放熱することによって、気体の冷媒は凝縮し液化します。コンデンサの放熱量は冷媒と外気温度の温度差と熱伝達率と伝熱面積の積で決まります。つまり、冷媒の温度と外気温度の差が大きいほど放熱量が増加し、冷媒はより液化しやすくなります。そのために、コンプレッサで圧縮し、冷媒の温度を外気温度よりも高温にしなければならないのです。

エキスパンションバルブ(膨張弁)

コンデンサで液化した冷媒はエキスパンションバルブ(膨張弁)を通ることで減圧され、低温・低圧の2相状態となります。減圧することによって冷媒の沸点は下がるため、低温でも2相状態となります。

エバポレータ

最後に、エキスパンションバルブを通って冷えた冷媒はエバポレータ(室内機)で室内の空気から気化熱を奪って蒸発します。その結果、室内の空気は冷媒の気化熱によって熱量を奪われるため、温度が下がります。これが冷凍サイクルで冷房できるメカニズムです。

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まとめ

上記のような、圧縮→凝縮→減圧→蒸発を繰り返し行うことによって、連続的に気化熱を利用し空気を冷却することができるシステムを冷凍サイクルと言います。

ヒートポンプサイクルはコンデンサが室内機、エバポレータが室外機というように機能が冷凍サイクルから入れ替わっただけで考え方はまったく同じです。コンプレッサで高温になった冷媒を室内機で熱交換(冷媒から空気に熱が交換移動)させて、室内の空気を暖房します。そして、減圧して低温になった液体を室外機で熱交換(外気から冷媒に熱が移動)させて蒸発させるのです。

• 空調の原理である冷凍サイクル/ヒートポンプサイクルは気化熱や凝縮熱を繰り返し利用できるシステム
● 冷凍サイクル/ヒートポンプサイクルは圧縮(コンプレッサ)、凝縮(コンデンサ)、減圧(膨張弁)、蒸発(エバポレータ)の4つの部品で構成され、その中を冷媒が状態変化しながら循環している

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