【MBD事例】自動車開発向け熱プラントモデル作成・基礎編

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自動車工学
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熱領域の物理プラントモデル

力学領域に引き続き、今回は熱領域の物理プラントモデル作成の基礎について紹介していきます。基礎編なので、なるべく簡単な数式にわかりやすい例でイメージが掴みやすい内容にします。

この熱領域も自動車開発にとって非常に重要な開発テーマになっています。「熱」という裏方のようなイメージがありますが、自動車の内部では常に不要な熱を捨てたり、足りない熱を生み出したり、作った熱を溜めたりしています。

最近は電気自動車(EV)が増えてきましたが、EVはこれまでのガソリンエンジンで動く自動車より熱領域の開発が重要になっています。エンジンというはガソリンと酸素との化学エネルギーから回転エネルギーに変換する部品ですが、同時に大きな熱も発生させています。その熱を暖房やオイルの暖機などの熱源として有効活用していました。

しかし、EVはエンジンがなくなるため大きな熱源が失われてしまうのです。したがって、今後EVや水素自動車(FCV)の開発が増えてくることに併せて、熱領域MBDの需要も増えてくるでしょう。

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熱領域の2つの基本物理法則

自動車開発には主に①熱力学と②伝熱工学の2つの分野の知識が用いられます。今回はそれぞれの分野の最も基本的な物理法則について考えてみましょう。

熱力学

まずは①熱力学の基本法則からです。$$\frac{dT}{dt}=\frac{Q}{C}$$$$T=\int \frac{Q}{C}+T_{ini}$$ここで、\(T\)は温度[degC]、\(Q\)は熱量[W]、\(C\)は熱容量[J/degC]、\(T_{ini}\)は初期温度[degC]です。

ここで、この式の意味を考えてみましょう。熱容量の単位は[J/degC]ですよね。この意味は温度を1[degC]上げるもしくは下げるために何Jのエネルギーを与えるもしくは抜き取らないといけないかを決めています。つまり、熱容量が大きいものは暖まりにくく冷めにくい、逆に熱容量が小さいとすぐに暖まりますがすぐに冷めてしまいます。

次に、\(\frac{Q}{C}\)について考えます。この単位は[degC/s]になります。これは、1秒間で何度温度が上がるもしくは下がるかを意味しています。つまり、熱容量の小さいものに大きな熱量を与えると最も温度が上がります。熱容量はさらに以下のように分解することができます。$$C=mc$$\(m\)は質量[kg]、\(c\)は比熱[J/degC/kg]です。質量や比熱が大きいほど熱容量も大きくなります。比熱は物性によってある程度決まっています。

伝熱工学

次は、伝熱工学の基本法則です。$$Q=G(T_1-T_2)$$ここで、\(Q\)は熱量[W]、\(G\)は熱伝達率[W/degC]、\(T_1,T_2\)は温度[degC]です。この数式の意味は\(T_1\)と\(T_2\)の温度差に熱伝達率を掛けて計算した熱量が2点間を移動していくという意味です。

熱伝達率の単位は[W/degC]です。この意味は1[degC]の温度差があれば何Wの熱量が移動するかということです。温度差1degC当たりという相対的な意味なので間違えないようにしてください。

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事例紹介

ここからは2つの基本物理法則を使った事例を紹介したいと思います。まずは、簡単な例からいきましょう。

2つの温度と熱容量の異なる物体が接しているというモデルを作りました。\(T_1=100\)、\(C_1=100\)、\(T_2=0\)、\(C_2=100\)、\(G=5\)としてシミュレーションしてみましょう。

シミュレーションスタート直後から左の物体から右の物体に向かって熱が移動し、それに伴って\(T_1\)は下がり、\(T_2\)は上がっていきます。2つの物体の温度が一緒になる(温度差が0になる)と移動熱量も0となり、温度は定常状態に達します。次は、\(C_1\)を100から200に上げてみます。

\(C_1\)を大きくすると、定常状態に達する温度が変わりましたね。これは物体1の熱容量が大きくなったので、同じ熱量が与えられても温度変化小さくなったからです。最後は、\(C_1\)は100に戻して、熱伝達率である\(G\)を5から10に上げてみます。

\(G\)を上げると定常状態に達するまでの時間が短くなりました。これは同じ温度差であっても移動する熱量が増加したためです。以上が基本的なモデルを使ったシミュレーションです。

  • 熱力学と伝熱工学の基本物理法則を使うだけで、任意の熱領域のMBDができる
  • 熱容量を変化させると定常状態の温度が変化する
  • 熱伝達率を変化させると定常状態に達するまでの時間が変化する

以下で、熱モデルの応用編の記事も書いてあるので、ご覧いただけると嬉しく思います。

自動車工学
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