カーエアコンでなぜ燃費が悪化する?燃費改善が期待できる簡単な対策5つを紹介!

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カーエアコンによる燃費悪化を抑えたい

燃費を極力落とさずエアコンを使う方法を知りたい

昨今は、暖かい日が続いていますね。天気のいい日は、運転中に車室内が暑くなってそろそろエアコンを付けて運転することも多くなってくるのではないでしょうか?

しかし、カーエアコンを付けると燃費が悪化してしまいます。それはエアコンの主要構成部品であるコンプレッサを動かすために、ガソリンやバッテリのエネルギーを使ってしまうからです。

現在は、エネルギー価格の高騰によってガソリン代が高止まりしています。少しでも燃費よく運転したいと考えておられる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

また電気自動車の場合、エアコンの消費電力は航続距離の低下に直結します。したがって、できるだけ消費電力を抑えるコツを知ることで、少しでも航続距離を延ばすことができます。

今回は、なるべくカーエアコンの使用による燃費の悪化を最小限に食い止める方法について解説していきます!

この記事を読んで得られること

燃費悪化を少しでも抑えるコツが身に付きます。

どれも簡単に実践できるやり方を解説するので、すぐにでも実践していきましょう!

現役自動車開発エンジニアが秘訣を教えます

私は、現役の自動車開発エンジニアです。

その私が今回はすぐにでも実践できるエアコン消費電力の抑え方について以下で解説をしていきます。

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そもそもエアコンでなぜ燃費が悪化するの?

具体的なテクニックを紹介する前に、そもそもカーエアコンを付けるとどうして燃費が悪化してしまうのでしょうか?

燃費の悪化はカーエアコン主要部品であるコンプレッサにあります。

その理由を機械式コンプレッサと電動コンプレッサに分けて説明します。機械式コンプレッサとは、従来のエンジン車に搭載されているコンプレッサです。一方、電動コンプレッサとは、ハイブリッド車や電気自動車で採用されているコンプレッサです。

機械式コンプレッサはエンジンの動力を使って動かす

機械式コンプレッサはプーリーベルトと呼ばれる部品によって、エンジンとつながっています。つまり、エンジンが回転すればコンプレッサを自動的に回転数するようになっているのです。

エンジンとコンプレッサはプーリーベルトで同期

コンプレッサは常にエンジンと連動して動いているわけではなく、マグネットクラッチと呼ばれるクラッチ機構が付いています。カーエアコンをOFFしているときは、クラッチが離れていてエンジンが回転してもコンプレッサは止まったままです。しかし、ONにするとクラッチが締結され、エンジンと同期して回転します。

コンプレッサが回転し始めるとエンジンから見れば負荷になります。エンジン自身が生み出したトルクを使ってコンプレッサという別の部品まで回らなれけばならないからです。すると、タイヤに伝達できるトルクが目減りしてしまうので、同じ速度を維持するためにより多くの燃料を消費してしまいます。

これが機械式コンプレッサで燃費が悪化する原因です。

電動コンプレッサはバッテリの電力で動く

電動コンプレッサは搭載されているバッテリに蓄えられている電力を使って動きます。機械式コンプレッサとは異なり、エンジンとは独立して動くことができるということです。

エンジンと独立しているなら電動コンプレッサなら燃費が悪化しないのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それは間違っています

その理由は、電動コンプレッサの駆動によってバッテリ残量の減りが早まるため、エンジンの駆動頻度が上がるからです。

もう少し簡単に説明します。ハイブリッド車の場合、バッテリの残量が減ってくるとエンジンを駆動させて発電をしています。したがって、電動コンプレッサでバッテリの電力を使ってしまうと、その分エンジンが駆動する頻度が増えてしまい、結果的に燃料を消費してしまうということです。

ハイブリッド車ではなく、電気自動車の場合はバッテリ残量の減少は航続距離の低下に直結しますね。

コンプレッサ以外でエネルギーを消費する部品

カーエアコンによる燃費悪化の主要な原因はコンプレッサですが、他にも燃費を悪化させる原因になる部品はあります。

それは、コンデンサファンとブロアファンです。コンデンサファンとは、クルマの前面に付いているコンデンサとセットになっているファンのことで、冷媒を気体から液体に凝縮させる機能部品です。このファンを動かすのに12Vの蓄電池の電力が消費されます。

さらに、車室内のエアコン吹き出し口の奥に入っていて、エバポレータ内部の冷媒と空気を熱交換させるためのブロアファンも同様に、12V系の電源とつながっています。

カーエアコンを動作させると、これら2つのファンも動くのでコンプレッサ+コンデンサファン+ブロアファンのトータルの消費エネルギーがクルマに追加で掛かることになるのです。

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暖房なら燃費は悪化しないは間違い!

暖房でも燃費は悪化する

冷房の場合は、コンプレッサで冷媒を圧縮する必要があるため燃費は悪化します。一方、暖房の場合は、エンジン車では温まった冷却水を使って暖房するため燃費は悪化しないと思われる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、それは間違っています!暖房を使うときでも燃費は悪化しています。その理由を以下で解説していきます。

運転開始直後で燃費悪化が顕著

暖房では、運転開始直後が最も燃費が悪化します。その理由は、冷え切った冷却水を早く昇温させなければならないからです。

運転直後は冷却水の温度は外気温度と近くなっているため、まったく暖房に使えません。そこで、燃料を大量に消費してエンジンで発生する熱を冷却水に移して(エンジンの冷却損失と呼ばれる)、冷却水を早期昇温しなければならないのです。

そのときに燃費の悪化が発生してしまいます。

また、アイドリングストップ中はエンジンが停止しているため、徐々に冷却水温度は下がっていきます。そこで、ある一定の温度を下回ると暖房性能が落ちるため、アイドリングストップを解除するという制御も働きます

したがって、暖房使用時は、①運転開始直後の燃費悪化と②アイドリングストップ期間が短縮されることによる燃費悪化の2つが起こります

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すぐに実践できる燃費向上テクニック5選

外気導入ではなく内気循環で運転する

内気循環で冷たい空気を車室内に閉じ込める

最も簡単に実践できる方法の1つが、カーエアコンの空気の流れを外気導入から内気循環にすることです。

これによってカーエアコンの損失の約60%を占める換気損失を低減できます。換気損失とは、名前の通り換気に伴う損失です。

外気導入では常に外の暑い空気を冷房することになるので、エアコンに高い負荷が掛かってしまいます。さらに、せっかく冷やした空気もクルマの外に出て行ってしまいます。

すると、エアコンは常に外気の暖かい空気を冷房または冷たい空気を暖房しなければならないため、大きな負荷が掛かります。これが換気に伴うエネルギー損失の原因になります。

図1:外気導入と内気循環の違い

一方、内気循環では一度冷やした空気が外に逃げていかないので、エアコンに掛かる負荷が小さくなります。内気循環の場合は、エアコンを付けたすぐは負荷が高いですが、しばらく時間が経ってくると、冷房によって冷えた内気をまた冷房によって冷やすことになります。したがって、だんだんとエアコンの負荷が減っていくのです

二酸化炭素濃度増加による眠気には注意

しかし、長時間内気循環でエアコンを運転していると、車室内の二酸化炭素濃度が上がってしまいます

これは人間の呼気には二酸化炭素が含まれているためです。二酸化炭素濃度が上昇すると、人間は眠気を感じやすくなるので注意が必要です。内気循環をしていると、車内の空気が換気されないので、だんだん二酸化炭素濃度が高まるリスクがあります。

そんなときには定期的に窓ガラスを開けて換気をしたり、駐車場で仮眠を取るなどして安全運転を心掛けてください。

暖房のときに内気循環するとフロントガラスが曇りやすくなる

暖房を使用するときも冷房と同様に、外気導入よりも内気循環のほうが換気損失を低減できるので省エネになります。

しかし、暖房で内気循環をするとフロントガラスが曇りやすくなるので注意が必要です。これは人間の呼気に含まれる水蒸気がフロントガラス周辺で冷やされて結露するためです。これも二酸化炭素と同様に、内気循環によって換気ができなくなると水蒸気の濃度も上昇していきます。

そこで、フロントガラスが曇り始めたら内気循環から外気導入にして曇らないようにしてください。ただし、雨の日のように外の空気の湿度が高いときは外気導入をしても曇ってしまいます。

そのときは、エアコンを付けて除湿暖房をするようにしてください。省エネで運転するための順番としては、内気循環→外気導入→除湿暖房です

乗員がいない席の吹き出し口を閉める

2番目は、乗員が乗っていない席のエアコン吹き出し口を閉めることです。

例えば、1人だけで運転しているときは助手席側に付いている吹き出し口から風が出ないようにしてください。そうすることでエアコンの消費電力を抑えることができます。

エアコンの消費電力は冷やす空間の体積が大きいほど増える傾向にあるので、運転席の周辺だけを冷房するようにするだけで消費電力を抑えることができます。

比較的新しいクルマではスイッチ操作だけ助手席の吹き出し口のコントロールができるものもあります。そのような機能は積極的に活用していきましょう!

赤外線カットフィルムをサイドガラスに貼る

3番目は、サイドガラスに遮熱効果のある赤外線カットフィルムを貼り付けることです。

カーエアコンにとっての大敵はガラスから車室内に入り込んでくる太陽光などの熱です。この熱が大きければ大きいほど、エアコンの能力が負けてしまい車室内の温度が下げられなくなります。

そうなると、コンプレッサはより大きな仕事をしなければならず消費電力も大きくなってしまうのです。

そこで、赤外線カットフィルムをサイドガラスに貼ることによって、外からの入熱量を抑えることができます。入熱量が減れば、その分少ないエネルギーで冷房することができるため、より省エネ運転が実現します。

ただし、前席のサイドガラスにフィルムを貼ることは違反になってしまうので、貼る場所は後部座席のサイドガラスにしてください。

冷房の場合は顔と手、暖房の場合は足元に風を当てる

4番目は、カーエアコンの吹き出し口に関する秘訣です。冷房の場合は、顔や手などの上半身を中心に風を当てます。一方、暖房の場合は、足下などの下半身を中心に風を当てます

このように吹き出し方向を工夫することによって、カーエアコンの消費電力を抑える効果が期待できます。

その理由は、人間は顔や手を冷やすとより冷感を感じやすい傾向にあるからです。反対に、足を暖めるとより温感を感じやすい傾向があります。

これを「温熱感」と呼びます。この温熱感を上手く利用することによって、少ない消費電力で涼しいまたは暖かいと感じることができるのです。

雨の日は服や傘についた水分をよく落としてから乗車する

5番目は、雨の日に服や傘についた水分をよく落としてからクルマに乗ることです。

その理由は、車室内の空気の湿度が高いとせっかくエアコンをつけても温度が下がりにくくなってしまうからなんです。

湿度が高いとエアコンのエネルギーは空気を冷やすことにではなく、湿度を除湿することに奪われてしまうことにより、本来の目的である冷房性能が下がってしまうんです。

それを防ぐためにも、湿度の高い雨の日は水分をよく落としてから乗車し、車室内の湿度をなるべく上げないように工夫しましょう。

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まとめ

今回は、明日からすぐに実践できるカーエアコンの燃費悪化を抑える秘訣を5つ解説しました。

以下に結論をまとめます。

  • 外気導入ではなく内気循環で運転する
  • 乗員がいない席の吹き出し口を閉める
  • 赤外線カットフィルムをサイドガラスに貼る
  • 冷房の場合は顔と手、暖房の場合は足元に風を当てる
  • 雨の日は服や傘についた水分をよく落としてから乗車する

以上のような、簡単な対策をするだけでカーエアコンの消費エネルギーは小さくなり、より燃費のいいドライブをすることができます!

皆さんも明日からすぐに実践して、快適なカーライフを楽しみましょう!!

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コメント

  1. 名無し より:

    消費電力って書いてあるけど、電動コンプレッサーの方が多くなってるの?マグネットクラッチで、エンジンの動力とコンプレッサーを繋げる従来式の方がまだ多いと思ってた。

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