【自動車MBD】因果系/非因果系ツールは制御とプラントで使い分け

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MILS/SILS/HILSのモデル環境はモデリングツールを使って構築することが一般的です。

モデルベース開発(MBD)で用いられるモデリングツールの特徴について紹介します。現在多くのツールベンダーからたくさんのモデリングツールが出ていますが、これらのたくさんのモデリングツールは①因果系ツール②非因果系ツールの2種類の分類することができます。

以下で、因果系・非因果系ツールという切り口で、各モデリングツールがどちらに属しているのかを紹介しています。

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因果系ツールの特徴と代表的なツール名

因果系ツールは入出力関係が決まっているツール

まずは、因果系ツールとはどんなツールのことなのかを説明していきます。因果とはある結果には必ずその原因があるという意味です。これをモデリングツールに置き換えると、原因と結果が明確に区別されたツールということになります。さらに、ブレイクダウンして説明すると因果系モデルとは入力と出力が決まっているモデルということです。

方程式を用いて説明してみます。\(y+\alpha x^2+\beta=0\)という方程式を因果系ツールでモデリングする場合は、\(x\)と\(y\)のどちらを入力、出力にするかを決めなければなりません。\(x\)を入力にする場合は$$y=-\alpha x^2-\beta$$と式変形します。右辺が入力、左辺が出力ですね。一方、\(y\)を入力にすることもできますよね。$$x=\pm\sqrt{\frac{-y-\beta}{\alpha}}$$

このように、入出力関係をユーザーが規定しなければならないツールを因果系ツールと呼びます。

図1:因果系ツールのイメージ

因果系ツールの代表例はMATLAB/Simulink

因果系ツールの代表はMATLAB/Simulinkになります。MATLABもSimulinkもどちらも因果系ツールに属します。MATLABはMATLAB言語でプログラミングすることができますが、C言語やPythonなどのプログラミング言語はすべて因果系になります。

また、Simulinkは自分で入力と出力を定義してブロック線図を構築していく必要があるので、こちらも因果系ツールとなります。

因果系ツールのメリット3つ

因果系ツールのメリットは

  • コントローラ(制御)モデルに適している
  • モデルのデバッグが容易
  • シミュレーション速度が速い

の3点が挙げられます。まず1つ目についてですが、コントローラ(制御)モデルはプラントモデルから入力される様々な物理量を使ってシーケンシャルに処理を実行していきます。したがって、コントローラモデルは計算順序が決まっている因果系ツールと相性がいいのです。

2つ目は、モデルのデバッグが容易に行えます。例えば、あるモデルを作ったのですが狙い通りの結果にならず、モデルのどこかにミスがあるとします。そのとき因果系ツールであれば、計算を遡ってチェックしていくことでどこでミスしているかがすぐに発見できます。

3つ目は、シミュレーション速度が非因果系ツールと比較して速い傾向があります。因果系ツールは決められた処理を順番にこなしていくだけなので演算負荷が軽いというメリットがあります。

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非因果系ツールの特徴と代表的なツール名

非因果系ツールは入出力を区別せず相互作用を考慮

非因果系ツールとは因果系ツールと反対で、入力と出力を区別しません。\(y+\alpha x^2+\beta=0\)という方程式があれば、どちらが入力ということは考慮せず、等式のまま取り扱うことができます

図2:非因果系ツールのイメージ

図のように、それぞれのモデルで方程式を記述し、それらを接続することによってモデルを構築していきます。コンポーネント化されたモデルを組み合わせるだけで任意のシステムを表現できるのが特徴です。

それぞれのモデル間は温度\(T\)と熱量\(Q\)の2つの物理量を同時にやり取りしているため、結線に矢印がないことも特徴です。因果系ツールは計算順序が決まっているので左から右に矢印がありますが、非因果系ツールは双方向のやり取りになるので矢印はありません。この\(T\)と\(Q\)をそれぞれアクロス変数スルー変数と呼ばれ、各物理領域でアクロス変数、スルー変数は異なります。

非因果系ツールはバラエティに富んでいる

非因果系ツールは多くのツールベンダーからたくさんのツールが出ています。代表的なツールはOpenModelica、Dymola、MapleSim、Simscape、SimulationX、GT-SUITE、Amesimなどがあります。これらのツールは基本的な考え方は共通しています。物理領域ごとにアクロス変数とスルー変数が定義されており、基本的なコンポーネントモデルが標準で用意されています。

ユーザーは用意された標準コンポーネントモデルを組み合わせたり、自分でモデルをカスタマイズしたりしてモデリングをしていきます。

上記の非因果系ツールはそれぞれパラメータの詳細度が異なるため、V字プロセスのフェーズに応じて使い分けることが重要です。

非因果系ツールのメリット3つ

非因果系ツールのメリットは

  • プラント(制御対象)モデルに適している
  • 直感的にモデリングができる
  • システムの変更(モデルの組み替え)が容易

の3点が挙げられます。1つ目は双方向のやり取りをするのでプラントモデリングに適していることです。プラントはコントローラと異なり、常に相互作用(作用・反作用の法則など)があるため、計算順序が決まっている因果系ツールよりも非因果系ツールのほうがよりリアルなモデリングができます。

例えば、力学領域であればトルクと角速度、熱領域であれば熱量と温度が互いに相互作用し合っています。実現象において、トルクと角速度のどちらが入力で出力なのかは決まっておらず、常に同時に決定されます。

2つ目は、実際に対象に近い形でモデリングすることが可能で直感的にモデルの中身が理解しやすくなります。図2のように、物体1と物体2が熱的につながっているということがモデルの形を見るだけでイメージできますよね。

3つ目は、各コンポーネント単位で方程式が記述されているので、モデルの組み替えが容易に行えます。モデルが変われば従う方程式を変わりますが、そこはツール側のソルバーで自動ですべての方程式が成立するようにシミュレーションしてくれます。

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まとめ

因果系ツールと非因果系ツールの特徴について以下にまとめます。

• 因果系ツールは入出力関係が規定されており、コントローラ(制御)モデルに有効

• 非因果系ツールは入出力を区別せず方程式で記述するツールであり、相互作用が絡むプラント(制御対象)モデルに有効

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