コンピュータービジョンとは?
コンピュータビジョンは画像処理やAIをさらに発展、応用した研究分野
まず最初に、「コンピュータビジョン(CV)」とはどのようなことをする技術なのかを説明します。
コンピュータビジョンとは、コンピュータが画像や動画から情報を引き出し、それらの情報を利活用する研究分野のことです。具体的には、画像から人の顔を認知(顔認証システム)したり、画像から奥行きを推定したりします。
画層処理技術やAI技術をさらに発展、応用させた学術分野であり、近年盛んに研究が進められている非常にホットな研究対象です!
コンピュータに人間の視覚機能を実現する技術
コンピュータビジョンを翻訳すると、「コンピュータの視覚」となりますよね?つまり、コンピュータ(機械)に人間と同様の視覚認識機能を実現することを目指しています。
人間の視覚認識機能はコンピュータと比較できないほど発達していると言われています。人間の目は、微妙な色・質感(高級感、光沢感など)の違いを見た瞬間に見分けられます。
一方、機械の視覚は人間ほど優れてはいません。例えば、ディープラーニングによって犬の画像を学習させたAIは学習した範囲内の犬種であれば上手く犬だと認識できます。しかし、学習範囲外の犬種を入力させると認識に失敗するケースが多くあります。


ロボットにコンピュータビジョンが実装されると
もし、コンピュータに人間の視覚認識機能が備われば、コンピュータの概念が変わります。
例えば、ロボットにコンピュータビジョンが実装されれば、ロボットが自発的に目(カメラ)から見える画像から必要な情報(人の表情、物体の位置、色など)を引き出し、制御に利用することができようになります。そうなれば、ロボットはより人間の動きに近くなり、ロボットと人間の境界がなくなっていくでしょう。
コンピュータビジョンに強い企業はキーエンス
コンピュータビジョン分野に高い技術力を持っているのがキーエンスです。非常に高年収が貰える企業としても有名ですね。
キーエンスは、流量、温度、圧力などを計測するセンサや顕微鏡などの光学機器メーカーですが、キーエンス はこれらのセンシング技術と光学技術を組み合わせて、コンピュータビジョン分野で高い技術力を持っています。
コンピュータグラフィックス(CG)とコンピュータビジョン(CV)の違い
ここで、コンピュータグラフィックス(CG)とコンピュータビジョン(CV)の違いを解説します。CGとCVは正反対の関係にあります。
CGは3次元の実世界の映像を2次元の画像に変換
CGとは、実世界で見えている3次元の映像をコンピュータを用いて2次元の画像に変換する技術のことです。
CGはご存知の通り、映画やゲームなどの映像業界で非常に幅広く使われている技術ですね。実世界では作ることのできない環境をCGで人工的に作り出すことによって、映画やゲームなどの異世界感を演出しています。
CVは2次元の画像から3次元の情報を引き出す
一方、CVはCGと対照的な関係にあります。
CVは2次元の画像から画像の元になった3次元の情報を引き出そうとする技術です。例えば、2次元の画像から人の顔認識、物体の奥行き推定、色の色彩や明るさなどを抽出して、それらの情報を利活用します。
以上のように、CGとCVは対象的な関係になっています。しかし、CGとCVは互いに密接に関係しており、CGとCVをセットにして研究されるケースが多くあります。
製造業はDX化が課題になっている
IoT、AI、デジタルツインを活用して業務を効率化
現在、製造業では業務のDX化が課題になっています。
具体的な技術では、IoT、AI、デジタルツインなどのDX技術を活用して、業務をより効率的に自動化していこうとする動きが活発になっています。
このDX変革にも今回のコンピュータビジョンは非常に大きな役割を担っています!製造業でのDX変革の一例をご紹介します。
製造業のDX事例:IoTとAIを活用した生産工場の監視
1つ目の例は、IoTとAIを組み合わせることによって、生産工場の監視の自動化が実現できます。
IoTによって製造現場にある様々な工場設備の稼働状況(圧力、温度など)がモニターできるようになりました。その大量のデータをAIに機械学習やディープラーニングで学習させることによって、普段とは違う異常な状態を検知できるようになります。
AIが設備の正常と異常を判断できるようになれば、これまで人が判断していた作業が機械に置き換わり、省人化・自動化ができるようになります。
製造業でのコンピュータービジョンの最前線の技術トレンド
コンピュータビジョンも製造業のDX化に相性バッチリです!ここからは、製造業でコンピュータビジョンがどのように活躍できるかの事例を紹介していきます。
製造ラインの品質検査工程の自動化
コンピュータビジョンは製造業の検査工程と非常によくマッチします。
これまで人間の目で傷、割れ、欠け、入れ忘れなどの検査をしていましたが、コンピュータビジョンが実現すると機械がそれらの検査を自動でできるようになります。
カメラで撮影した画像から、機械が傷などの不良がないかを自動で判定できるようになります。人間の場合は、長時間の勤務によって疲労が蓄積すると判断ミスが起こりやすくなるという重大な欠点があります。しかし、機械であれば常に同じ精度で検査をすることができます。
ロボットアームによるピッキング作業の効率化
また、製造過程でよく用いられるロボットアームを使ったピッキング作業にもコンピュータビジョンはマッチします。
一般的ピッキング作業では、「治具」と呼ばれる位置を合わせる装置を使って、毎回部品が同じ位置にセッティングされるようにしています。位置が毎回同じであれば、ロボットアームも操作しやすくなりますよね?
しかし、治具を毎回作ることは非常にコストが掛かります。さらに、部品の形状によって治具の形も変化するので、1回作った治具は再利用できずに毎回作り直さなければなりません。
コンピュータビジョンの技術を使えば、この治具が不要になります!まず、ロボットアームに備え付けられたカメラでサンプルの写真を撮影します。次に、その画像からサンプルがどの位置に、どんな向きになっているのかと情報を引き出します。最後に、サンプルが最もピッキングしやすい方向からアームを入れればピッキング成功です。
以上のように、画像から物体の位置や向きを機械が自動で精度良く推定できるようになれば、治具のようなアシスト器具は不要になり、ピッキング作業にDX変革が起こります!
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