初心者必見!エアコン・空調開発で必須のモリエル線図の見方をわかりやすく解説!

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電気自動車では空調技術がコア技術になる!

今後、クルマの電動化が進んでいくと空調技術はますます重要な開発要素になってきます。

なぜなら、電気自動車のバッテリを冷凍サイクルを用いて冷却、ヒートポンプサイクルを用いて暖機する必要が出てきているからです。

COPが高いエアコンサイクルを採用することにより、電気自動車の弱点である航続距離の短さが解消されることが期待されています!

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自動車メーカーは空調技術に詳しい人材を欲している

車両の電動化に伴って、空調開発に掛かる開発工数は急激に増加しています。

これまでドライバーの快適性を司っていた空調は、今後バッテリの熱コントロールまで担うようになり、カバーしなければならない領域がどんどん拡大してします。

さらに、ドライバーの空調とバッテリの熱コントロールを上手く協調して制御するという制御技術も重要視されています。

したがって、空調技術に詳しい人材は今後自動車メーカーでこれからますます重宝されるようになっています

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モリエル線図は空調で必須のアイテム

モリエル線図とは、空調の原理である冷凍サイクルとヒートポンプサイクルの技術開発をする上で必須のアイテムです。エンジニアはこのモリエル線図を考察するだけで、空調サイクルの状態が一目で理解できます。

モリエル線図の概要

  • モリエル線図は冷凍サイクル内の冷媒の状態が一目で理解できるグラフ

空調技術を考える上で避けて通れないのが、モリエル線図です。冷凍サイクルでは冷媒の圧力や温度が変化することに加えて、気体と液体を行き来するという非常に複雑な熱力学変化をします。その複雑な変化をわかりやすく図示できる線図のことをモリエル線図と言います。

今回は、簡単のため理論的な冷凍サイクル・ヒートポンプサイクルにおけるモリエル線図を説明します。実サイクルは様々な損失があり、理論サイクルとは異なります

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モリエル線図の見方

モリエル線図は1枚のグラフの中にたくさんの情報が詰まっています。一度に、説明するとややこしくなってしまうので、以下で、3枚に分けて説明します。

  • モリエル線図には、等圧線、等温線、等比エンタルピー線、等エントロピー線、等比容積線、乾き度の6個の状態量がすべて載っている

等圧・等温・等比エンタルピー線

図1:等圧線、等温線、等比エンタルピー線

図1はモリエル線図の概要を表した図になります。縦軸は冷媒の圧力で、単位は一般的に\(\mathrm {MPa}\)が用いられます。横軸は比エンタルピーで単位は\(\mathrm {kJ/kg}\)で冷媒1\(\mathrm {[kg]}\)が持っているエネルギーを表現しています。

中央にある山形の曲線は臨界点より左のラインを飽和液線、右のラインを飽和蒸気線と呼びます。飽和蒸気線の右側の領域では冷媒は気体として存在し、飽和液線の左側の領域では液体として存在します。そして、飽和蒸気線と飽和液線に囲まれた中央部分が冷媒が気液2相状態で存在している領域となります。

例えば、液体の冷媒を圧力一定で加熱したとします。そうすると冷媒の比エンタルピーは増加していくので、冷媒の状態は等圧線に沿って右にシフトしていき飽和液となります。そこから、冷媒は気液2相状態になりますが、2相状態の間は温度変化がなくなります

これは顕熱から潜熱に変わるため、エネルギーは温度変化ではなく状態変化に使われるようになるためです。そして、状態変化が完了して気体になった後は温度は再び増加していくのです。

等エンタルピー線と乾き度

図2:等エントロピー線と乾き度

図2は等エントロピー線乾き度の線を説明するために描いた図になります。等エントロピー線とは摩擦のない理想的な断熱圧縮をすると仮定すると、この等エントロピー線に沿って熱力学的変化が起こります。実際のコンプレッサの圧縮では理想的な断熱圧縮にはならず、この等エントロピー線からは外れた圧縮をします。

乾き度は冷媒の液体と気体の割合を表現した指数になります。乾き度0というのが液体100%、気体0%、乾き度1は液体0%、気体100%です。

そして、0〜1は液体と気体が混合していて、例えば乾き度0.2であれば液体80%、気体20%の割合の2相状態になっているということです。

比エンタルピーは増加していくにつれて同じ2相状態でも乾き度が大きくなっていくので気体の割合が増えていきます。そして、飽和蒸気線まで来ると、完全に気化するため乾き度は1となります。

等比容積線

図3:等比容積線

図3はモリエル線図に等比容積線を描いています。比容積\(v\)とは単位質量当たりの体積という意味で、単位は\([\mathrm{m^3/kg}]\)です。つまり、比容積は密度の逆数なので冷媒密度を\(\rho[\mathrm{kg/m^3}]\)とすると$$v=\frac{1}{\rho}$$が成り立ちます。

比容積は圧力が下がれば下がるほど大きくなる傾向があります。これは減圧に伴って冷媒が膨張し、密度が薄くなっていくということを意味しています。

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各部品とモリエル線図の対応関係

冷凍サイクルを構成する4つの部品(コンプレッサ、コンデンサ、エキスパンションバルブ(膨張弁)、エバポレータ)がモリエル線図とどのように対応しているかを説明します。図3は冷凍サイクルを構成する4つの部品をモリエル線図上に載せた対応図になります。

モリエル線図の形状は各部品の影響を大きく受けて変化します。冷凍サイクルの高圧と低圧はそれぞれ、冷媒側のエネルギーと空気側のエネルギーが等しくなるポイントでバランスするようにできています。

図3:冷凍サイクル構成部品のモリエル線図の対応関係

コンプレッサ

コンプレッサはエバポレータで蒸発した後の低圧の気体を吸い込んで圧縮し、高圧・高温にして吐き出します。理論サイクルの場合は断熱圧縮になるので、図2の等エントロピー線に沿って圧縮が行われます。

コンデンサ

吐き出された冷媒は次にコンデンサの中で凝縮し、液化していきます。

先ほど説明したように凝縮中は状態変化しているので、温度は一定のまま凝縮していきます。このときの温度を凝縮温度を呼びます。

エキスパンションバルブ(膨張弁)

次に、コンデンサで液化した冷媒はエキスパンションバルブ(膨張弁)を通ることで減圧します。

減圧するときは等エンタルピー膨張になるので、モリエル線図の等エンタルピー線と並行に真下方向に減圧していきます。

また、減圧することによって冷媒の沸点も下がるので、ここで冷媒の温度は急激に下がります。

エバポレータ

最後は、減圧して冷えた気液2相冷媒をエバポレータに流して空気と熱交換させることによって蒸発させます。

蒸発中も状態変化しているため温度は一定となり、そのときの温度を蒸発温度と呼びます。

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モリエル線図を使ったエネルギー計算

最後に、コンプレッサ、コンデンサ、エバポレータがするエネルギーの計算方法を紹介します。コンプレッサは消費動力、コンデンサとエバポレータのするエネルギーはそれぞれ放熱量と吸熱量に対応します。

仕事率の計算方法

エネルギー計算の基本的な考え方は循環流量\(G[\mathrm {kg/s}]\)と比エンタルピー差\(\Delta h[\mathrm {kJ/kg}]\)の積で求められます。

コンプレッサ動力\(L_{comp}[\mathrm{kW}]\)、コンデンサ仕事率\(Q_{cond}[\mathrm{kW}]\)、エバポレータ仕事率\(Q_{evap}[\mathrm{kW}]\)はそれぞれ$$L_{comp}=G\cdot (h_b-h_a)$$$$Q_{cond}=G\cdot (h_b-h_c)$$$$Q_{evap}=G\cdot (h_a-h_d)$$と同じ式の形で計算できます。

ここで、エバポレータがした仕事とコンプレッサがした仕事の和はコンデンサがした仕事に等しいなので、$$Q_{cond}=Q_{evap}+L_{comp}$$のエネルギー保存則が成立します。

成績係数COP(Coefficient of Performance)の計算方法

また、冷凍サイクル・ヒートポンプサイクルではコンプレッサがした仕事に対して、どれだけ効率的に冷房・暖房できているかを表す指標として、成績係数COP(Coefficient of Performance)があります。冷凍サイクルであれば、エバポレータでの仕事が有効的な仕事になるので$$COP=\frac{Q_{evap}}{L_{comp}}=\frac{h_a-h_d}{h_b-h_a}$$ヒートポンプサイクルであれば、コンデンサでの仕事が有効的な仕事になるので$$COP=\frac{Q_{cond}}{L_{comp}}=\frac{h_b-h_c}{h_b-h_a}$$で計算できます。

図3からわかるように、\(h_a-h_d>h_b-h_a\)と\(h_b-h_c>h_b-h_a\)が成り立ちます。つまり、\(COP>1\)になるということです。

これは、コンプレッサに投入した仕事に対して、それ以上の冷房仕事、暖房仕事が得られるということを示しています。システムの\(COP\)が\(COP>1\)となることが、冷凍サイクル・ヒートポンプサイクルの最大のメリットです。

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まとめ

  • 電気自動車が主流になると、空調技術は重要なコア技術になる
  • 自動車メーカーは空調技術に詳しい人材を欲している
  • 空調技術のスキルを持っている人は、自動車業界に転職できるチャンス
  • モリエル線図は、空調サイクルの状態が一目で理解できる便利なグラフ
  • 1枚に等圧線、等温線、等比エンタルピー線、等エントロピー線、等比容積線、乾き度がプロットされている

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