初心者必見!電気自動車の仕組みを現役自動車開発エンジニアがわかりやすく解説!

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電気自動車の仕組みを理解したい

初心者の方にわかりやすく解説

今回は、電気自動車の仕組みを初心者の方ににもわかりやすく解説していきます。

簡易的な電気自動車のシステム図を用いながら、システム全体のつながりがわかるように説明をしていきます。

この記事を読んで得られること

この記事を読むことによって、電気自動車のエネルギーの流れが理解できるようになります

エネルギーの流れがわかれば、なぜバッテリで自動車が走ることができるのか、またバッテリ冷却システムやエアコンシステムがどのように動いているのかが理解できます。

現役自動車開発エンジニアが解説します

私は、現役の自動車開発エンジニアであり、完成車メーカーで開発の仕事をしています。

電気自動車の業務にも携わったことがあり、今回は簡単に電気自動車の仕組みを解説していきます。

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電気自動車の仕組みをシステム図で理解

図1:電気自動車の簡易システム図

図1は、電気自動車の簡易的なシステム図を表しています。領域ごとに色分けしています。黄色が電気系、オレンジ色が走行系、青色が熱系となっています

次に、それぞれの領域について詳細を解説していきます。

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電気系は直流/交流変換と電圧変換

電気系の役割は主に2つあります。

1つ目は、充電器から高圧バッテリに蓄えられた直流電流をモータが使えるようにインバータで直流電流から交流電流に変換することです。そうすることによって、モータで電気エネルギーから運動エネルギーへとエネルギー変換を行うことができるようになります。

2つ目は、高圧バッテリの電圧をDCDCコンバータを用いて、電圧を降圧することです。電気自動車に搭載されているバッテリは非常に高電圧ですが、ヘッドライト、ワイパー、ナビなどの電装品は高電圧に対応していないため、12Vまで降圧させる必要があります。

12Vまで降圧した後は、低圧バッテリ(鉛蓄電池)に蓄えられ、上記の電装品の電力として供給されます。

高圧バッテリ(リチウムイオンバッテリ、全固体電池)

高圧バッテリは主にリチウムイオンバッテリが採用されています。これはエネルギー密度の高さから小さくても大きな電気エネルギーを蓄えられるためです。

リチウムイオンバッテリは世界のバッテリメーカーがしのぎを削って競争している分野です。さらに、電解液を固体化した全固体電池の開発も進められています。

全固体電池のエネルギー密度は、従来のリチウムイオンバッテリの3倍になると言われています。仮にこの全固体電池が開発されれば、電気自動車の航続距離は劇的に延びます。

そのようなポテンシャルを持った全固体電池は電気自動車市場のゲームチェンジャーと言われているのです。

DCDC・インバータは変換効率が鍵

高圧から低圧に電圧を変換するDCDCコンバータやバッテリからの直流電流を交流電流に変換するインバータの開発課題は変換効率を上げることです。

変換効率とは、DCDCコンバータやインバータがどれだけ効率的に直流→直流、直流→交流に変換できるかの能力を指しています。例えば、1000Wの電力を入力して800Wの電力が出力されれば変換効率は80%となります。

残りの20%はどこにいくのかというと発熱による熱エネルギーとなります。つまり、変換効率が低ければ低いほど、発熱量が増え部品本体の温度も上がってしまうのです。部品本体の温度が上がり過ぎると、故障の原因になるなど部品の信頼性も低下してしまいます。

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走行系はトルクを増幅させながらタイヤまで伝達

走行系の役割は、モータで発生させたトルクを増幅させながらタイヤまで伝達させていくことです。

ここで、トルクとは物体を回転させるためのエネルギーのことであり、このトルクが大きいほど物体の回転数は大きくなります。

モータで発生させたトルクは、減速機→デファレンシャルギア→タイヤとトルクを増幅させながら伝達されます。

最終的に、タイヤで回転運動エネルギーから並進運動(前後運動)エネルギーにエネルギー変換されることによって、自動車は前後に進むことができるようになるのです。

減速機は回転数を下げてトルクを増幅させる

減速機の機能は、入力されたトルクを増幅させてタイヤに伝えることです。トルクを増幅すると回転数は反対に減速することから、減速機と呼ばれることが多いです。

トルクが増幅されると回転数が減速することはエネルギー保存則から説明することができます。入力されるエネルギーと出力されるエネルギーは保存するという法則ですね。

減速機がエネルギーを自ら生み出しているわけではなく、変換しているだけという点に注意が必要です。

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熱系は電気自動車で最も重要な分野

電気自動車にとって、熱系は非常に重要です。

なぜなら、熱系の性能がバッテリの劣化や電気自動車の航続距離に大きく影響を与えるからです。

熱系では主に2つのシステムがあります。

バッテリ冷却システムはバッテリの劣化に大きく影響

1つ目は、バッテリ冷却システムです。バッテリ冷却システムはバッテリの温度をコントロールするための重要な冷却システムです。

バッテリの温度が上がりすぎると劣化に直結するので、それを防ぐために冷却しています。バッテリ冷却には、①空気冷却、②水冷却、③冷媒冷却の3種類が存在し、それぞれメリット・デメリットがあります。

エアコンシステムは航続距離に影響

2つ目は、エアコンシステムです。電気自動車にとって、エアコンは航続距離の低下に大きく影響します。特に、暖房使用時では最大で約50%も航続距離が低下してしまいます。

エアコンシステムで欠かせない電動コンプレッサは非常に消費電力の大きい部品であり、一般的に高圧バッテリの電源から電源を取ります

低圧バッテリから電源を取ってしまうと、オームの法則から大電流が流れてしまうためジュール熱による熱損失が非常に大きくなってしまうからです。

エアコンシステムはエバポレータで冷媒と車室内の空気を熱交換させることによって、冷暖房しています。

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まとめ

今回は初心者の方にもわかりやすく、簡単なシステム図を使いながら電気自動車の仕組みについて解説をしました。

電気自動車は大きく①電気系、②走行系、③熱系の3つの領域に分けることができ、それぞれが機能することによって、電気自動車という大きなシステムを構成しています。

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