トヨタが市販化を目指す水素エンジンの仕組みを現役エンジニアが解説!メリット・デメリットもお伝えします!

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今流行の水素エンジンの仕組みを知りたい

トヨタ自動車が水素エンジンの市販化を加速

トヨタが水素エンジンの市販化を加速することを発表しました。

これまでトヨタはサーキット場などで試験的に水素エンジン車を走らせてきましたが、いよいよ市販化を目指すとの報道がありました!

また、東京都市大学が水素エンジンの出力がディーゼルエンジンと同等レベルに上げることに成功したという報道もありました。2026年からトラックなどの大型車への適用を目指して、さらに開発を進めています。

そこで、今回の記事ではそもそも水素エンジンってどんなエンジン??という疑問にお答えしていこうと思います!!

まず初めに、同じ水素を燃料として使うパワートレインとして燃料電池と水素エンジンの2種類があるので、それらの仕組みと違いに説明をしていきます。

次に、水素エンジンと従来のガソリンエンジンとのメリット・デメリットを自動車開発エンジニアの視点で比較していきます。

私は現役の自動車開発エンジニアです

私は現在、自動車メーカーで開発職をしている現役エンジニアです。

これまで電気自動車、水素自動車、エンジン開発、機械学習・ディープラーニングなどのAI開発など幅広い技術開発に携わってきました。

今回は、エンジニアの視点から水素エンジンの仕組みとメリット・デメリットについて解説をします!

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そもそもエンジンの仕組みとは?

そもそもエンジンとはどのような部品なのかを解説します。

エンジンとは、燃料を爆発(化学反応)させて、そこから得られるエネルギーを回転エネルギーに変換するための部品です。

エンジンには、ガソリンエンジン・ディーゼルエンジン・水素エンジンなどの種類がありますが、これらの違いは燃料です。ガソリン(レギュラー、ハイオク)・ディーゼル(軽油)・水素と空気中に含まれる酸素を化学反応させて、エネルギーを抽出します。

自動車に採用されるエンジンは4つの行程(吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気工程)を繰り返すことで、連続して回転エネルギーを生み出し続けています。

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燃料電池と水素エンジンの違い

最初は、どちらも水素を燃料としている燃料電池と水素エンジンの動力発生機構の仕組みについて解説をしていきます。

燃料電池は化学エネルギー⇨電気エネルギー⇨運動エネルギーに変換

燃料電池は水素と酸素の化学反応(水の電気分解の逆反応)を利用して、エネルギーを取り出す機能を持っています。$$\mathrm{2H_2+O_2\rightarrow 2H_{2}O}$$この化学反応によってエネルギーを取り出すという意味は2つ水素分子と1つの酸素分子で存在するよりも2つの水分子で存在するほうがより少ないエネルギーで存在できる(安定している)からです。

反応前後のエネルギーの差を電気エネルギーとして抽出して搭載されているバッテリに蓄えます。そのバッテリの電気エネルギーをモーターで運動エネルギーに変換してタイヤを回転させるのが燃料電池自動車の仕組みです。

水素エンジンは化学エネルギー⇨運動エネルギーに変換

一方、水素エンジンは水素と酸素の化学反応からエネルギーを取り出すという意味では燃料電池と共通しています。

しかし、燃料電池との違いは水素と酸素の化学エネルギーを電気エネルギーに変換することなく、直接運動エネルギーに変換できるという点です。

水素エンジンは従来のガソリンエンジンの構造を踏襲したまま、燃料だけをガソリンから水素に置換しています。

そのため、ピストンで圧縮して高温になった水素と酸素を爆発的に化学反応させ、クランクシャフトで直接的に回転運動エネルギーに変換してタイヤに動力伝達できます。

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水素エンジンのメリット

既存のエンジン技術が応用できる

水素エンジンの最大のメリットは、これまでの長い間培ってきたガソリンエンジン、ディーゼルエンジンの技術をそのまま水素エンジンに応用できることです。

もちろん燃料性状が異なると燃焼の物理特性も変わるので、そのまま応用することは難しいですが、本質的な考え方は水素エンジンになっても共通です。

また、既存エンジンを利用できることによって生産コストの低減にもつながります。

例えば、燃料電池自動車を生産するとなれば、生産工場内に燃料電池専用のラインを引かなければなりません。なぜなら、燃料電池自動車とエンジン自動車は同じラインで生産できないからです。新しいラインを引くことは莫大なコストが掛かってしまうので、車両価格も上がってしまいます。

しかし、水素エンジンなら部品構成が従来のガソリンエンジンと共通している部分が多いので、ガソリンエンジンと同じラインで水素エンジンを生産することができ、コスト低減効果が非常に大きくなります。

水素はガソリンよりも比熱比が高く理論的に熱効率が高くなる

ガソリンエンジンの理論サイクルであるオットーサイクルの熱効率は、圧縮比と比熱比の2つの因子だけ決定されます。

つまり、エンジンの熱効率(=燃費)は圧縮比と比熱比を高くするほど向上していきます。

水素はガソリンよりも比熱比が非常に大きく、理論的に熱効率を高められるポテンシャルがあります。比熱比は分子数が少ないほど高くなる傾向にあります。水素は\(\mathrm{H_2}\)なので2原子分子ですが、ガソリンは\(\mathrm{C_{8}H_{16}}\)であり、非常に多くの原子から構成されているため比熱比は小さくなります。

比熱比が大きいということは、燃焼させたときにより膨張しようとする力が強くなることを意味します。エンジンはシリンダー内のガスが膨張するときのエネルギーを回転エネルギーに変換するので、比熱比を大きくすることは重要なのです。

したがって、比熱比の高い水素を燃料にできる水素エンジンは理論的に熱効率を高められるポテンシャルがあるのです。

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水素エンジンのデメリット

バックファイアが起こりやすく燃焼コントロールが難しい

水素エンジンのデメリットの1つ目は、燃焼のコントロールが難しいことです。

水素はガソリンよりも着火しやすい性質があるため、狙いのポイントで着火させることが困難になります。例えば、吸排気ポートが高温になり過ぎている場合、そこに接触した水素ガスが予期せず着火してしまいバックファイアを引き起こしてしまいます。

以上のように、燃料性状が異なれば着火のしやすさも異なるので、バックファイアを避けながら常に狙い通りのポイントで水素ガスを着火させることが水素エンジンの最大の技術開発課題となっています。

気体水素を使用しているため1回の充填での航続距離が短い

2つ目のデメリットは1回の充填での航続距離が短いことです。

これは燃料電池自動車にも同様のことは言えますが、現状水素エンジン車の燃料は気体の水素を使用しています。

気体は液体に比べて密度が非常に低いため、タンク満タンに水素を充填したとしても質量に換算すると小さくなってしまいます

そこで、水素を液化して液体水素としてタンクに充填できれば密度を高められるため、大幅に1回充填あたりの航続距離を延ばすことができます。

しかし、水素を液化しようとすると非常に低温の状態にしないと液化できません。大気圧下を仮定する場合、-253℃まで温度を下げないと水素は液化しません。

この水素液化技術はまだまだ課題があり、超低温環境をどのように断熱するかという問題や-253℃まで水素を冷やすために大きなエネルギーが必要になる問題などがあります。

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まとめ

以上の説明から、水素エンジンのメリット・デメリットをまとめると以下のようになります。

  • 既存のエンジン技術が応用でき、さらに生産コストを下げられる
  • 水素はガソリンよりも比熱比が高く理論的に熱効率が高くなる
  • バックファイアが起こりやすく燃焼コントロールが難しい
  • 気体水素を使用しているため1回の充填での航続距離が短い
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