【自動車MBD】V字プロセスにMBDを適用して開発工数削減

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自動車工学
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自動車開発ではV字プロセスと呼ばれる開発プロセスに沿って開発が進んでいきます従来の実物を使った開発では時間・コストともに増加するという問題点がありました。モデルベース開発(MBD)をV字プロセスに適用することにより、その問題点を解決することができます。

まずV字プロセスの各フェーズについて説明した後で、従来型の開発フローとMBDを適用した開発フローの比較をしていきます。

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自動車開発はV字プロセスに沿って進んでいく

自動車開発は一般的にV字プロセスという開発フローに沿って進んでいきます。V字プロセスとは、その字のようにV字の左側と右側で設計プロセスと検証プロセスという2つのプロセスに区切って開発を進めるプロセスのことです。

設計プロセスは試作に向けた準備

設計プロセスとは、自動車の設計をしていくプロセスであり、まだ実物の自動車はない状態で開発が進んでいきます。設計プロセスの中にもフェーズが分かれており、システム設計→ユニット設計→部品設計というように、だんだん詳細化していきます。

図1:V字プロセス

システム設計

システム設計とは開発する自動車のコンセプトやシステム全体を設計していくことです。具体的な設計はまだしません。例えば、次に販売する自動車が○人乗りのSUVだとすると、車重は〇〇\(\mathrm{kg}\)で走行抵抗は〇〇\(\mathrm{N}\)になる。だから、エンジン排気量は〇〇\(\mathrm{cc}\)必要で、そのエンジンからの発熱量は〇〇\(\mathrm{kW}\)となるからラジエータは〇〇\(\mathrm{m^2}\)の面積が必要だというように、必要なコンポーネントとそれらの大まかなサイズ感を決めていきます。このシステム設計が自動車開発において最も重要なフェーズです。

このシステム設計では、MILSと呼ばれるモデル環境を使って机上設計することが一般的です。シンプルな物理でシステム全体を表現し、簡易的な制御と組み合わせて大枠の動きを確認します。

ユニット設計

次は、システム設計から1段階ブレイクダウンしてユニット単位で設計していきます。例えば、エンジンユニットや冷却系ユニットのように大きなサブシステム単位で設計を進めていきます。ユニット設計ではレイアウトのような搭載要件も考慮していきます。具体例には、冷却系ユニットであればウォーターポンプの体格やラジエータの面積やファンのサイズを決めます。

部品設計

最後にユニットを構成しているそれぞれの部品を設計していきます。例えば、エンジンであればピストン、シリンダーブロック、クランクシャフトなどの部品設計をしていきます。冷却回路であれば、ウォーターポンプ、ラジエータ 、サーモスタットなどが設計対象になります。

また、部品設計ではシミュレーションツールを使うケースが多くあります。3Dを取り扱う詳細度の高いツールで、応力解析や熱解析を行い実機計測の代わりにします。

試作で設計した図面がいよいよ形に

部品設計まで完了すれば、いよいよその図面に基づいて試作機を作っていきます。この試作工程がV字プロセスの中で、最も時間とコストが掛かってしまう工程です。したがって、何度も何度も試作機を作っていると、膨大な開発工数とコストが必要になります。

検証プロセスは作った試作機で実機評価

試作工程で作った試作機を使って、いよいよ実機評価をしていくプロセスです。検証プロセスでは、設計プロセスとは逆に細かいところから評価をしていきます。

部品検証

まずは部品単位の検証です。設計図面通りの寸法で試作されているかを細かくチェックしていきます。長さ、厚み、曲がりなどの部品寸法が指示通りになっているかを確認します。

ユニット検証

次は、ユニット単位で検証していきます。エンジンであれば各部品を組み付けて1つのエンジンユニットとしての性能評価をしていきます。ここでの性能評価はベンチと呼ばれるユニット単体の専用の試験施設を用います。ベンチ試験でトルクや排ガスなどの各評価項目について計測していきます。

システム検証

最後はシステム単位での検証です。これは各ユニットをすべて統合して自動車の状態にして最終的な評価を行います。ここでは、実際に車を試験場で走らせたり、様々な環境で試験することによって、各性能が狙い通り出ているかチェックしていきます。

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従来開発の問題点は開発に時間が掛かること

ここからはモデルベース開発(MBD)を適用する前の従来開発の問題について説明していきます。従来型の開発の問題点はV字の左側で設計した性能の確認がV字の右側でしかできないことです。つまり、V字の底にある試作工程を経て初めて性能の確認ができるということです。この問題点は2つあり、1つ目は、試作工程で膨大な時間とコストが掛かってしまうということ。2つ目は、仮に検証プロセスで性能未達になった場合、また設計プロセスに戻ることになり大きな手戻りが発生してしまうことです。

図2:従来のV字プロセスの問題点
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MBDをV字プロセスに適用して開発手戻りを防止

MBDをV字プロセスに適用する効果は設計と検証の両方をV字の左側ですべて完結させることができ、試作工程を経なくてもPDCAサイクルが効率的に回すことができる点です。これは自動車開発の開発時間とコストの削減に非常に大きな効果をもたらします。

もちろん上記で述べたように、V字の左側は実物がまだありません。そこで、モデルを実物の代わりとして設計と検証のPDCAサイクルを回していくのです。上記で試作工程が最も時間とコストが掛かると説明しましたが、MBDを適用すると試作工程の前でPDCAサイクルを回せていることに注意して見てください。

もちろん、モデルと実物にはモデル化誤差があるので完璧に実物を再現できているわけではなく、すべての評価項目をV字の左側で完結できることはありません。しかし、一部の性能評価でも設計プロセス内で実施できることで検証プロセスの負担を軽減することができるのです。

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