【自動車MBD】モデリングツールは次元で3つに分類できる!それぞれの特徴と用途を解説!

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自動車工学
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前回の記事ではモデルベース開発(MBD)に用いるツールと因果系と非因果系の観点で分類して紹介しました。

ここではモデリングツールを詳細度別に3種類に分類して、それぞれの特徴について解説します。各粒度のモデリングツールの特徴とV字プロセスのどのフェーズで活用するのかを紹介します。今回はプラントモデル向けの物理モデリングツールに限定しました。

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モデリングツールは0次元、1次元、3次元の3種類に分けられる

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0次元モデリングツールの特徴と用途

0次元モデリングツールの特徴

まずは低粒度のモデリングツールについて説明します。ここで、「粒度」という言葉の定義を先に説明します。粒度とはモデルの詳細度のことであり、精度とは関係ありません。モデルの粒度はパラメータの詳細度で決まってきます。低粒度のモデリングツールは0次元(質点系)モデルと呼ばれ、そのパラメータも0次元に縮退化されています。

図1:0次元の熱領域モデル

図1は0次元に縮退化された熱領域のモデルになります。物体1と物体2はそれぞれ質点として取り扱うため、\(C_1[\mathrm{J/K}]\)と\(C_2[\mathrm{J/K}]\)という1つの熱容量だけで表現しています。したがって、0次元モデルでは「分布」を表現できません。実際、物体1と物体2が熱のやり取りをするなら、物体の中で温度分布が生じているはずです。0次元モデルでは、分布を無視してある1つの平均温度という形で代表させるのです。

もちろん、0次元モデルは熱領域以外でも有効です。力学領域であれば車両の1つの質量の塊だと捉えてモデリングすることもできますし、流体領域であればある空間の圧力は一様だと仮定してモデリングすることもできます。

0次元モデリングツールのV字プロセスでの活用フェーズ

図2:V字プロセスと各粒度のモデリングツールの関係

図2は、各粒度のモデリングツールをV字プロセスのどのフェーズで活用するのかを書いた図になります。低粒度のモデリングツールはV字プロセスの最も左上のシステム設計で活用します。システム設計はまだコンセプト設計の段階なので、詳細なパラメータを要求されるモデルは逆に使いにくくなります。そこで、低粒度のモデリングツールで少ないパラメータだけを用いて、大まかなコンセプト設計をしていきます。

0次元モデリングツールの種類

低粒度モデリングツールの代表例は、OpenModelica、Dymola、MapleSim、Simscape、SimulationXなどがあります。これらすべてのツールは0次元に縮退化されており、各物理領域は質点系でモデリングされます。力学領域であれば質量、熱領域であれば熱容量、流体領域であれば体積が0次元化されており、圧力や温度の分布は考慮できません。

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1次元モデリングツールの特徴と用途

1次元モデリングツールの特徴

低粒度のモデリングツールが0次元に対して、中粒度のモデリングツールは1次元まで取り扱います。例えば、配管モデルであれば低粒度は1本の配管としてモデル化するのに対して、中粒度の1次元モデルでは流れ方向に配管を分割してそれぞれの要素で圧力を計算していきます。

図3:1次元の配管モデル

図は1次元モデリングツールで作成したときの配管モデルになります。このように1本の配管を任意の要素数に分割して各要素で圧力や温度などの状態量を計算していきます。この分割数を増やせばより流れ方向の分布が見られるようになる一方で、計算負荷が高くなりシミュレーションに時間が掛かってしまいます。

1次元モデリングツールのV字プロセスでの活用フェーズ

1次元のモデリングツールは低粒度のモデリングツールでシステム設計を行った後のユニット設計においてメインで活用されます。より詳細なパラメータが変更できるので、配管モデルであれば長さ、直径、曲がり、厚みなどの細かな情報を入れて具体的な設計を行います。

1次元モデリングツールの種類

1次元のモデリングツールの代表は、GT-SUITE、Amesimなどがあります。これらは上記の低粒度のモデリングツールに比べると格段に設定できるパラメータが細かくなります。そのため、これらのモデリングツールで大規模なモデルを作ってしまうと、シミュレーション時間が非常に遅くなってしまう問題もあります。

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3次元モデリングツールの特徴と用途

3次元モデリングツールの特徴

高粒度モデリングツールは3次元まで取り扱うモデルのことを指します。3次元空間の分布などをシミュレーションするときには必須のツールとなります。3次元ツールではモデル化対象をメッシュと呼ばれる小さな要素に分割して、その要素ごとに物理法則を適用していきます。

図4:3次元の配管モデル

図4は3次元の配管モデルのイメージになります。1次元モデルでは流れ方向にのみ要素分割していましたが、3次元モデルは縦方向にも要素を分割してより詳細度が高まります。

3次元モデリングツールのV字プロセスでの活用フェーズ

3次元のモデリングツールはシステム設計→ユニット設計の次の部品設計でメインで活用されます。例えば、金属部品の応力解析、電子部品の熱解析、エンジンの筒内のガソリンと空気との混合気形成などのシミュレーションに用いられることがあります。計算負荷は非常に高く、一般のPCではなく高性能のクラスターマシンなどで実行されることが多いです。

3次元モデリングツールの種類

3次元のモデリングツールの代表例は、STAR-CCM+、Flotherm、Convergeなどが有名であり、自動車開発でよく使用されています。

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まとめ

今回は、0次元・1次元・3次元の3つに分類してモデリングツールを紹介しましたが、説明のようにV字プロセスのフェーズに応じて明確に線引きができるわけではありません。

実際は、0次元、1次元、3次元を適材適所に組み合わせたモデル環境で開発を進めるケースが多くあります。そのため、上記のモデリングツールには他のツールと接続するためのインターフェイスも存在していて、複数のツールの連携も容易になっています

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