自動車のラジエータとコンデンサの役割・違い・特徴!冷却回路とエアコンの熱交換部品!

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自動車工学
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はじめに

ラジエータとコンデンサの重要性

ラジエータとコンデンサはどちらも自動車の中で非常に重要な役割を担っています

具体的には、ラジエータは冷却回路内の放熱器として、コンデンサはエアコンの冷凍サイクルの凝縮器(ヒートポンプサイクルでは蒸発器)としての機能を持っています。

しかし、ラジエータもコンデンサも熱交換器という意味では共通であり、どちらも自動車の前面に搭載されていて、違いがわからないという方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事でわかること

この記事を読んでもらうことによって、ラジエーターとコンデンサーの違いが理解できるようになります。

また、それぞれの部品が自動車の中でどんな役割を果たしているのかということもわかるようになります。今回は難しい数式は使わずに、初心者の方々でも理解しやすいような解説をします。

ちなみに、私は現役の自動車開発エンジニアであり、エンジン開発や空調開発をメインにしています。今回は、エンジニア目線で2つの部品の違いについて説明します。

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ラジエータの基本知識

ラジエータとは何か?

オーバーヒートを防止するための放熱機能部品

まず、ラジエーターとは何か?について説明します。

ラジエーターとは熱を放熱するための機能部品のことです。自動車の内部では、エンジンによる燃焼や様々な補機類の損失などにより熱が発生します。

それらの熱をそのままにしておくと、オーバーヒートを起こしエンジンや電子部品などの故障につながってしまいます。

そこで、ラジエーターを使って余分な熱を自動車の外に捨てることによって、常に最適な温度にコントロールする機能を担っています

エンジンがオーバーヒートするとどうなる?

1つ目は、オイルの潤滑不良が起こります。エンジンオイルは温度によって粘度が変化します。一般的なオイルは温度が上がれば上がるほど、粘度が低下しさらさらになっていきます。

エンジンがオーバーヒートを起こすと、オイルの温度が上がり粘度が低下することによって、保持力が下がってしまうのです。すると、エンジンのシリンダーは焼き付きやすくなり故障の原因となります。

2つ目は、酸素の吸入温度が上がって密度が低下することにより、燃焼の状態が悪化します。オーバーヒートしたエンジンによって、吸気した空気が熱膨張すると酸素密度が下がるので、インジェクターから噴射した燃料が上手く燃焼できなくなるのです。

ラジエータの主な役割

ラジエーターは主に、自動車の冷却回路に搭載されています

冷却回路とはウォーターポンプ、ラジエーター、サーモスタット、冷却ホースなどで構成されている回路であり、内部を冷却水が循環しています。

例えば、エンジンではシリンダブロックの内部にウォータージャケットと呼ばれる流路が作られており、その中を冷却水が通ることにより、エンジンを冷却しています。

その熱を最後にラジエーターで外気に放熱することにより、冷却水の水温が上がり過ぎることを防いでいます。

ラジエータの仕組み

熱伝達現象を利用して冷却水の熱を外気に放熱

ラジエーターが熱を放熱できる仕組みは、熱伝達という現象を利用しているからです。

熱伝達現象とは、気体や液体の間で熱のやり取りが行われる現象のことを指します。ラジエーターの場合は、ラジエーター内部の冷却水(液体)と外気(気体)との熱伝達現象を利用して、熱を冷却水から外気に移動させています。

フィンを付けて熱交換面積を大きくしている

その熱交換がよりスムーズに行われるように、ラジエーターの表面にはフィン と呼ばれるアルミニウムでできた細かい羽のような部品が付いています。

このフィン が付いているおかげで、冷却水と外気が接する表面積が大きくなり、結果的に放熱量が大きくなります

また、ラジエーターには「ラジエーターファン」と呼ばれるファンが備え付けられており、ファンが回転することにより風速を上げて、放熱量を大きくします。

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コンデンサの基本知識

コンデンサとは何か?

エアコンの冷凍サイクルの主要部品の1つ

コンデンサとは、カーエアコンの原理になっている冷凍サイクルの主要部品の1つになります。

コンデンサとは別名「凝縮器」と呼ばれており、エアコン冷媒を気体から液体に凝縮させる機能を持っています。

コンデンサの放熱量が少なくなるとエアコンの効きが悪くなる

コンデンサはエアコンの効きと密接に関わっており、コンデンサで上手く冷媒が凝縮されられない場合は、エアコンの効きが著しく悪くなります。

コンデンサの主な役割

コンデンサの役割は、冷媒を気体から液体に状態変化させることです。

その状態変化は冷媒の持っている熱をコンデンサで放熱させることによって実現されます。熱を捨てるという点では、コンデンサもラジエーターもまったく同じ機能を持っています。

コンデンサで熱を放熱することにより、冷媒の持つエネルギーは低下し、気体から液体へと状態変化していきます。液体になった冷媒を再びエバポレータで気体に蒸発させるときに、気化熱を利用して冷房しています。

コンデンサの仕組み

ラジエーターと同様に熱伝達現象を利用して放熱

コンデンサが放熱する仕組みはラジエーターとまったく同じです。

どちらも熱伝達現象を利用しています。コンデンサも表面にアルミ製のフィンが取り付けられており、コンデンサ内の冷媒(気体)と外気(気体)を熱交換させています。

コンデンサファンで停車時も放熱を促進

コンデンサにも「コンデンサファン」と呼ばれるファンが付いており、信号で停車しているときはファンが回転することによって、熱交換を促進します。

信号などで自動車が停止すると、途端にエアコンの効きが悪くと思います。これは車速風が0になり、コンデンサに当たる風速が低下して、冷媒の熱を上手く放熱できなくなるからです。

そして、信号が青になって走り始めると、吹き出し口から再び冷たい空気が出てくるようになります。

コンデンサの種類と特徴

コンデンサには大きく分けて2種類あります。

1つ目は「空冷コンデンサ」であり、2つ目は「水冷コンデンサ」です

空冷コンデンサとラジエーターと同じ仕組みで放熱

空冷コンデンサは、冷媒と外気を熱交換させるタイプのコンデンサです。ラジエーターのように自動車の前面に搭載されており、走行風を受けて熱を放熱させます。

水冷コンデンサは空冷コンデンサよりサイズを小さくできる

一方、水冷コンデンサは、冷媒と冷却水を熱交換させるタイプのコンデンサです。水冷コンデンサの特徴は空冷コンデンサよりもサイズを小さくできることです。

気体と液体で熱伝達率(熱の伝わり方)が違う(液体の方がずっと高い)

熱伝達は、気体と熱交換するよりも液体と熱交換するほうが、多くの熱を交換することができます。例えば、気温40度と40度のお風呂では、40度のお風呂の方が熱く感じますよね?

あれはどちらも同じ40度でも、気体と液体で熱伝達率(熱の伝わり方)が違うので、お風呂のほうが熱く感じるのです。

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ラジエータとコンデンサの主な違い

機能と役割における違い

ラジエーターとコンデンサはどちらも熱を放熱するという機能では共通しています。

役割の違いとしては、ラジエーターはエンジンやモーターなどを冷却水を用いて冷却するときの放熱部品として使われます。

一方、コンデンサはエアコンサイクルでしか使われません。コンプレッサで圧縮して高圧・高温になった冷媒をコンデンサで凝縮(気体から液体への状態変化)するために使われます。

物理的な形状や構造の違い(ラジエーターとコンデンサは耐圧性がまったく異なる)

物理的な形状は、どちらも似ています。

ラジエーターもコンデンサも内部に冷却水や冷媒が通過するためのチューブ、熱交換を促進するためのフィンが付いています。

しかし、ラジエーターとコンデンサには大きな違いが1つあります。それは耐圧性です

ラジエーターの場合は、冷却水が循環するだけなのでラジエーター内部の圧力は大気圧から少し高いくらいです。

しかし、コンデンサはコンプレッサで圧縮された高圧冷媒が流入します。圧力でいうと2.0MPa〜2.5MPaくらいの高圧に曝されることになるため、ラジエーターよりも耐圧性が要求されます。

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