テスラが電気自動車界をリードする理由!それはバッテリ冷却構造とオクトバルブにある!

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テスラが電気自動車界の王者に君臨する理由

テスラは電気自動車のメーカー別販売台数1位

米国のテスラは2021年の電気自動車のメーカー別販売台数で93万台を売り上げ、2位の中国のBYDの59万台を大きく引き離しています。

テスラの好調は、半導体不足により減産を余儀無くされている他の自動車メーカーを尻目に2022年も続いています。テスラが電気自動車業界を独走しているのは、それ相応の理由があります。

今回の記事では、テスラだけが持っている固有の技術について説明をしていきます。

なぜ他社の追随を許さない競争力があるのか

テスラの他社の追随を許さない競争力はいったいどこから生まれているのでしょうか?

その理由は、テスラのバッテリは他メーカーのバッテリよりも非常に劣化しにくいという極めて重要な特徴を持っているからです。

電気自動車においてバッテリの劣化問題は最重要課題であり、その開発力がダイレクトに競争力に直結していきます。バッテリの劣化が激しい電気自動車のリセールバリューはすぐに低下し、一度購入した顧客は二度とそのメーカーのEVを購入することはないでしょう。

一方、劣化を抑えられれば、乗り換えるときに高い値段で売れる→次もテスラのEVを購入したくなるというようなプラスの循環が生まれ、企業のブランド価値も上がっていきます。

テスラのバッテリが劣化しにくい理由は、バッテリの熱をコントロールする技術が他社を圧倒しているからです。バッテリは低温や高温の状態が続くと劣化しやすくなるため、テスラは最も劣化が進みにくい適切な温度にバッテリ温度をコントロールしているのです。

それを実現するためにテスラは、①バッテリ冷却構造と②オクトバルブによる熱の統合制御という2つの画期的な技術を有しています。それでは、以下でそれらの2つの技術について詳細を説明します。

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テスラの強み①:バッテリ冷却構造が画期的

テスラは円筒形状のバッテリを採用

まず1つ目は、バッテリの冷却構造が画期的だという点です。

一般的に、電気自動車に搭載されるバッテリは四角い箱型のバッテリが採用されていますが、テスラはパナソニックから供給される円筒形状の一見変わった形のバッテリを採用しています。これがテスラの競争力を維持している肝の部分になります。

円筒形状のバッテリの場合、隣り合うセルの間に隙間が出来てしまうため、スペースの無駄が発生してしまうというデメリットがあります。

しかし、テスラはその隙間に冷却水を流すという冷却システムを採用しており、円筒型セルのデメリットをメリットに変えています

表面積を大きくして冷却能力アップ

セルの間に冷却水を流すことの最大のメリットは、冷却部の表面積を大きく取ることができるという点です。

一般的な角型のセルの場合、バッテリの底面や側面にしか冷却水を流すことができないため、バッテリの中心に近い部分の温度がどうしても上がりやすくなってしまいます。

一方、円筒型セルの場合は、セル間の隙間をウォータージャケットとして利用することにより、バッテリをより均一に冷却することができます。

テスラのバッテリ冷却構造の断面図

冷却能力\(Q\)の大小は、熱伝達率×表面積×冷却水と対象との温度差の積で決まります。$$Q=k\cdot A\cdot (T_{lib}-T_{llc})$$

ここで、\(k\)は熱伝達率、\(A\)は冷却部の表面積、\(T_{lib}\)はバッテリ温度、\(T_{llc}\)は冷却水温度です。

一般的に、熱伝達率\(k\)は冷却水の流量(≒流速)の関数として決まります。つまり、冷却水の流量が多いほど熱伝達率も上がる傾向にあります。

表面積とは、冷却水とバッテリが接する面積のことです。テスラはこの表面積を他社よりも大きく取ることにより、大きな冷却能力を得ています。

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テスラの強み②:オクトバルブで車内の熱を統合制御

1つの部品に機能を統合してコストダウン

2つ目は、オクトバルブで車内の熱を統合制御できるという点です。

オクトバルブとは、名前の通り1つの部品の中に8個の流路を持つ流量切り替えバルブのことです。様々なモードに応じて流路が切り替わり、冷却水の流れる方向を変えられます。

これまでは1つの部品に1つの機能を持たせるのが普通でした。例えば、冷却回路で説明すると1つのバルブで1箇所の流路を切り替えます。つまり、切り替えの数だけバルブを用意しなければなりません。しかし、オクトバルブは1つの部品に8個の切り替え機能を統合した画期的な部品になります。

オクトバルブの先には、バッテリ、モータ、ECU、ラジエータ、水冷コンデンサ(エアコン用の熱交換器)などの部品を接続しており、運転条件や環境条件に応じてオクトバルブがバッテリ冷却、モータ・ECU冷却、ラジエータ放熱、エアコンの性能をすべて制御しています。

テスラは、このオクトバルブという1つの部品に多くの機能を統合することにより、コストダウンを図っているのです。

オクトバルブはバッテリの熱コントロールにも寄与

オクトバルブのメリットは、コストダウンだけではありません。

肝心のバッテリの熱コントロールにおいてもメリットを発揮します。例えば、バッテリを冷却したい場合は、最も冷却水の温度が下げるモードでオクトバルブが動作し、バッテリを冷却します。

一方、冬場にバッテリを早く温めたいときには、モータやECUなどの他の部品を熱を冷却水に乗せて、バッテリに移動させます。そうすることで、車両全体を熱を上手に足りないところに運び、効率的に熱のコントロールができるのです。

機能統合のデメリットは故障による影響が大きくなる

部品の機能統合はメリットばかりではありません。デメリットも存在します。

オクトバルブのデメリットは、多くの機能を統合しているため故障すると様々な領域に影響が出ることです。今回の場合では、オクトバルブが故障すればバッテリ、モータ、ECU、エアコンのすべてに影響が波及してしまいます。

したがって、機能統合部品を採用する際には、その部品の品質が非常に重要になってきます。

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まとめ

今回の記事の内容を以下に要約します。

  • テスラが電気自動車界で圧倒的な競争力を持っており、売り上げ台数を世界1位
  • その競争力の源泉は、バッテリの劣化の進みにくさ
  • それを実現しているのが、①バッテリ冷却構造と②オクトバルブによる統合制御
  • 円筒型セルで冷却面積を大きく取り、熱コントロールをしやすくしている
  • オクトバルブに機能を集約させ、統合制御&コストダウンを図っている
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